もし、あなたが高齢な母のために「お風呂をリフォームしよう」と考えたとき、「どのようなことに気をつければいいのか」、「どうすれば母が喜んでくれるのか」など、よくわからなくて悩んでいるのではないでしょうか。
ここでは高齢な母を笑顔にするための「安全で快適なお風呂にリフォームするポイント」について解説していきます。
目次|このページでわかること
つねに安全第一で考える
高齢者の場合、若者と違い「つねに安全第一」で考える必要があります。なぜなら自分の体の衰えがよくわからなくなる高齢者は、お風呂が想像以上に危険な場所となるからです。
たとえばお風呂によく使用されるタイルの床は、汚れが付きにくいように表面がつるつるしています。ここに石けんが残っていたり、お湯がたまっていたりするとすべってころんでしまいます。足や手の怪我だけでなく、頭を打つことがあるので非常に危険です。
他にも、浴槽をまたぐとき足を引っ掛けてしまったり、寒い脱衣場に出たとたん倒れてしまったり(いわゆるヒートショック)することもあります。心地よく過ごせるはずのお風呂が、一瞬にして命にかかわる危険な場所へとかわってしまいます。
そのため、高齢者にとってお風呂のリフォームは、使い勝手や見た目よりも安全第一である必要があリます。あらかじめ安全のポイントをしっかり確認しましょう。
もし、注意すべきポイントを知らずに、リフォームしてしたらどうなるでしょう。お金や時間の問題ではなく命にかかわることになります。失敗することは絶対に避けなければなりません。十分な計画を立てて絶対に失敗しないようにしてください。
ぜひ、あなたの大切な人のために以下の各ポイントを確認してください。
安全対策
ヒートショックと暖房と乾燥機
ヒートショックはどこで起こるのか?
下記は平成28年1月20日に消費者庁から出された記事です。
入浴は、身体を清潔に保つだけでなくリラックス効果も期待できる我が国の重要な生活習慣の一つです。一方、入浴する際の身体状況や入浴の環境によっては、意識障害を起こし溺水する等重大な事故につながる危険性があります。
人口動態統計を分析したところ、家庭の浴槽での溺死者数は 10 年間で約7割増加し、平成 26 年に 4,866 人となっています。そのうち高齢者(65 歳以上)が約9割を占めており、高齢者は特に注意が必要です。
消費者庁が 55 歳以上の消費者を対象に実施したアンケート調査によると、持病が無い普段元気な人でも入浴事故が起こることを知っている人は 34%にとどまる等、入浴事故のリスクが十分に周知されていませんでした。
また、安全な入浴方法の目安である「41 度以下で 10 分未満に上がる」を守っている人は 42%にとどまり、浴室等を暖める対策を全く実施していない人も 36%存在する等、消費者の安全対策が不十分であることが分かりました。
こうした中で約1割の人が、入浴中にのぼせたり、意識を失ったりしてヒヤリとした経験をしていました。安全に入浴するために、以下の点に注意しましょう。
(1)入浴前に脱衣所や浴室を暖めましょう。
(2)湯温は 41 度以下、湯に漬かる時間は 10 分までを目安にしましょう。
(3)浴槽から急に立ち上がらないようにしましょう。
(4)アルコールが抜けるまで、また、食後すぐの入浴は控えましょう。
(5)入浴する前に同居者に一声掛けて、見回ってもらいましょう。
ここまで引用
この記事にもあるように「入浴前に脱衣所や浴室を暖める」ことについて注意喚起がおこなわれています。つまり浴室内だけでなく脱衣場も暖める必要があります。
ヒートショックとは、急激な温度変化により血圧が上昇し、そのことにより引き起こされるとされています。したがってヒートショックに合わないようにするためには、温度差の変化がないようにすればよいのです。
つまり浴室内もすぐに暖められるように暖房をつけます。「浴室はあたたかいのでは?」そんな思いも浮かんできますが、お風呂が40度として体温は36.5度とすると洗い場が15度ぐらいしかないとその差は
脱衣場のそとはどうするのか。全て暖かくできれば理想ですが、難しい場合もあります。そんなときはしっかり着込んでください。特に首周りを冷やさないようにすることで血圧の急激な変化を防ぐことができます。暖かい部屋までマフラーをして移動すればOKです。
浴室内はどうするのか。できれば暖房をつけてください。浴室暖房できるものがありますので、そちらを設置することをおすすめします。
バリアフリー(段差解消)は必要?
バリアフリーという言葉をよく耳にします。最近では広い意味でつかわれることが多いですが、もともとは建物の段差などをなくす建築的な用語から始まっています。今回はリフォームについての解説ですので、本来の意味に立ち返りここでは段差をなくすことをバリアフリー(段差解消)と呼びます。
そもそも、バリアフリー(段差解消)は本当に必要なのでしょうか?「段差はあるとつまずくので、段差なんてないほうがよいに決まっているのではないか。何をいまさら変なことを聞くな」と思われたかもしれません。しかし実際にはいろいろな考え方があります。
たとえば次のような考え方はどうでしょうか。
筋肉トレーニングは適正な負荷(負担)をかけてトレーニングします。いったん筋肉はダメージを受けますが、その後回復機能が働いて、筋肉はトレーニング前より丈夫になります。
つまり、日常生活で体を動かす(段差を乗り越える運動をする)ことは、「必要な筋力を維持すること」に役立っているという考え方です。
母親の日常生活に負担(段差を超える運動)がかかっているように感じるけれど、それが適度な運動の範囲内であり、筋肉の維持に役立っている為「段差があってもいい」ということです。逆にやめてしまえば筋力が衰えて弱ってしまいます。
したがって、適正な範囲内であれば段差も役に立ちます、すべての段差を一律に「ダメだ」とは判断しないほうがよいということになります。もちろん段差が大きすぎると筋力の問題だけでなく、安全性の問題も出てきます。母親を十分観察したり、話し合いをしたりしながら、適正な段差を検討する必要があります。
この考え方は「母にいつまでも元気で長生きしてほしい」そのためにはどうするか、どう考えるかということの一つです。ぜひ参考にしてみてください。
母が困る段差を解消する
お風呂をリフォームするときは、段差に注意する必要があります。これは特に高齢者の場合、安全を確保するために大切なことです。もともとお風呂場は部屋とは異なる特殊なつくりになっています。排水や防水の関係で通常の部屋の床より高くなっていたり、逆に低く作ってあったり、場合によっては離れ(別棟)になっていたりします。
そのため、はじめから段差ができやすい性質を持っており、簡単には解消できません。リフォームする場合は段差を解消することを必ず検討して進めてください。あとで考えることはデメリットしかありません。
たとえば、お風呂をリフォームしても廊下とお風呂場の段差が残ってしまったり、廊下と居間の段差が残っていたりします。「一緒に検討して段差を解消しておけばよかった」などの問題が起こらないように家全体を考慮する必要もあるのです。
それでは、あらためてどのような段差の検討をすればいいのか順番に見ていきましょう。
浴槽(バスタブ)の段差はなくせない!?
お風呂で一番の段差は浴槽(バスタブ)です。浴槽の高さが床から50センチ~60センチある浴槽、これは若い人でも少し大変で高齢者には危険です。浴槽をまたぐとき足を上げますが、この時にバランスを崩しやすくなります。
たとえ手すりがあっても、またぐには高すぎます。現在、人気の高いシステムバスは浴槽の高さを40センチ程度に抑えてあります。システムバスを検討している場合は近くの「ショールーム」へ行き、実際に浴槽をまたいでみて母親にとって安全かどうかを一緒に確認しましょう。
お風呂場を在来工法(一戸建ての住宅で建物と同時に作っているタイプ)で作る場合も、バスタブの高さを体験するにはショールームへ行くことをおすすめします。ぜひショールームを利用しましょう。訪問したそのメーカーで決めなくてもかまいません。あらかじめまだ検討中(いろいろなショールームをみている)と伝えれば大丈夫です。ほかのメーカーのショールームへも足を運んでみましょう。
そして、もし可能であれば母親に「兄弟の家」や「親戚の家」また、「友達の家」などのシステムバスに実際入浴してもらうことを考えてください。
なぜなら、いままで深いバスタブを使っていた人がシステムバスに替えたとき、肩までお湯に入れなくなり違和感を持つからです。これは、お風呂好きにしかわからないかもしれません。しかし実際に浴槽に入ってみるとよくわかります。
この「使い勝手」と「安全性」とのバランスを確認することができる方法は、実際に体験するしかありません。リフォームが済んでから、「なにか心地よくない」と母親が感じないように事前に体感してもらいたいポイントの一つになります。
お風呂場の入り口の段差は解消しよう!
お風呂場の入り口の段差は、浴槽に次いで危険です。この段差は在来工法(一戸建ての住宅で建物と同時に作っているタイプ)の場合、お風呂の水が脱衣場や廊下に出ないように床の位置が下がっているケースがあります。タイル一枚分10センチ程度なのですが、高齢者にはかなり危険な状況を作り出します。必ずこの段差はなくすようにしましょう。
たとえば、お風呂場に入る場面を想像してみてください。脱衣場から踏み出した足が今までの床より下がるため、後ろの足をしっかり曲げて踏ん張るか、そのまま前の足にいきなり体重をかけるかのどちらかになります。高齢者は足腰が弱ってきているため、いきなり前足に体重をかけるとすべって転んでしまう可能性が高くなります。
システムバスを採用する場合は段差がほとんど出てきません。在来工法でリニューアルする場合は特に気を付けてください。妥協せず段差がなくなる計画を設計者や工務店に依頼します。(単純なリフォームだけの会社では対応できない場合がありますので注意してください。)
これは床を作り直すことになりますので、費用が掛かります。しかし費用をかけてでも段差をなくすことが大切なこととなります。
どうする?脱衣場と廊下の小さな段差
脱衣場と廊下の間はドアが付いている場合が多いです。壁にドアを付ける場合、基本的にはドアと壁の間に枠が付きます。いわゆるドア枠と呼ばれるものです。このドア枠は、壁とドアのあいだの3か所(左右と上)と、じつはその他に、床との取り合い部分にも存在します。床がたいらではなく下枠(見た目の厚さが2〜3センチある)が設置されている場合がそれにあたります。本来はドア枠自体の強度を保ったり、床材をしっかり挟み込むための役割があったりしましたが、バリアフリーの考え方が浸透するにつれて新築では平らに作ることが増えてきたため、あまり見なくなりました。
実は、この下枠の段差をなくすのは想像以上に大変な労力が必要です。つまり思った以上にお金がかかります。
なぜなら、下枠とその周辺の脱衣場や廊下の床を壊す必要があるからです。したがって下枠の段差解消だけで工事することはお勧めできません。
ただし、お風呂をリフォームするときにすでに脱衣場の床が一部腐食している場合やドア枠も取り換えが必要な場合はバリアフリー(平ら)になるように計画しましょう。
それ以外の場合はそのままでもかまいません。もちろん2〜3センチであれば十分に足を上げることができ、つまずかないことが前提です。足を上げられない場合はたとえ2~3センチの段差であってもバリア(障害)となりますので、フリー(平ら)になるように考えましょう。
土間と廊下の大きな段差への対応は?
土間がある家の場合、または離れにお風呂がある場合は土間から床までに大きな段差がある場合があります。これは家の作り方にもよりますが、50センチぐらいあります。これではひとまたぎでは登れないため、腰かけてそのまま登ったり、階段の代わりにブロックを置いたりします。しかしこれでは危険ですのでリフォームする場合は同時に解消してください。
これは緩やかな階段をつくれば解消できます。具体的には段差を15センチの階段にします。この15センチは高齢な母でも登りやすい高さになりますので、運動もかねて使ってもらうことができます。
たとえば50センチの段差であれば、一番下の土間を5センチかさ上げします。外部との段差がある場合は、スロープ(斜め)にしてもいいです。45センチの段差になれば15センチを3段に分けて、コンクリート製または木製でしっかり固定された階段を設置してください。
これで土間からの段差に対応します。
転ばぬ先の手すり、母を助ける手すりを付けよう!
転ばぬ先の杖ならぬ、転ばぬ先の手すり、「手すり」は非常にありがたい存在です。手すりがあれば転ぶ前に体を支えることができます。かならず手すりはつけましょう。母も安心してお風呂に入ることができます。それでは手すりはどのような場所につければいいのでしょう。
一番初めに考えたいのが「浴槽をまたぐときに必要なところ」、そして次に「浴槽内で立ったり座ったりする動作を支えるときに使うところ」、洗い場では「横移動や、立ったり座ったりする上下の動きを助ける場所」にも設置したいです。
「そんなことしたらお風呂が手すりだらけになってしまうじゃないか」そう思ったあなた、それでよいのです。高齢者にとって手すりはありがたいものです。あればあるだけ助かることになります。すべての手すりを利用することはないかもしれませんが、母の使い勝手と安全の確保には余裕を持った計画が必要です。
なぜなら、手すりがどれほど重要かは経験したことのない人にとってはわかりにくいのです。個人の経験といった狭い常識にとらわれると想像ができません。やりすぎかなと思うくらいでちょうどいい感じです。見た目は二の次で、母の安全の確保を一番に考えましょう。
例えば、通常ならお風呂のふたを置く位置であっても、場合によっては手すりを設置します。ふたは安全に比べたら重要度は下がります。少しくらいお湯が冷めても構いません。フタを初めからつけないことも考えてみましょう。
母親の体の状態に合わせて手すりを十分すぎるほど設置しましょう。
浴槽をまたぐ場所につける手すり
浴槽をまたぐ場所には手すりが必要です。ただし、実際に自分で検討してみると使い勝手が様々です。
浴槽と洗い場とのちょうど真ん中に縦に手すりをつけてみた場合を考えてみましょう。一見良いように思えます。実際に入ってみると手すりを持ち、足を出し浴槽をまたぎます。その後体が浴槽を超えていきます。
その際手すりが浴槽と洗い場の真ん中に立てについている場合、手すりを持った手がどんどん体の後ろ側にいってしまいます。
浴槽内で立ったり座ったりするための手すり
水平の手すりは全周につける
水平の手すりは壁全周に設置することをおすすめします。母が手すりを必要としている場合、常に手すりに手を添えているのはもちろんですが、実際には自分自身で立つことができる場合でも手すりがあれば手すりを、なければ壁をや他のものを手すり代わりにしています。
なぜなら、そのような場合、すでに手すりは単なる手すりではなく安心感を与える存在になっています。
例えば、逆に手すりがなくタオル掛けにつかまったり、シャワーユニットにつかまったりして移動する場合を考えてみましょう。もしもシャワーユニットがきちんと止まっていなければ寄りかかったときに外れて転んでしまいます。
母が安心して動けるように全周に手すりを設置しましょう。
最終的に手すりの高さや位置は自分が決める
実際に手すりを設置するとき、「床から何センチにどの位置に取り付けますか」などと聞かれると、普通は簡単に返答できません。「一般てきにはどのくらいの高さなんでしょう」と聞き返し、「75センチ位です」と返答があれば「それでお願いします」となります。このように業者さんや設計士さんに任せておけば大丈夫と思っている人も多いと思います。
しかし、手すりについて業者さんや設計士さんが十分に理解があるかどうかはわかりません。特に自分で手すりを必要とすることが無い人の場合、十分なアドバイスや検討ができない場合があります。
たとえば、手すりの高さは床から75センチが標準とされています。何もリクエストしなければ業者さんや、設計士さんはその高さで話をすすめるでしょう。
しかしこれはあくまでも標準ですから実際に、母にあっているかは試してみないとわかりません。実際によく母を観察したり話をしたりして手すりの高さを確認しましょう。その時のポイントは母は手すりに全体重をかけているのか、手がかりとして使ってるいるのかを見極めることです。
体重をかけて手すり使っている場合、少し低めに手すりを設置したほうが使いやすいです。また、手がかりとして利用している場合は、標準の高さか場合によってはそれよりすこし高めに設置することが使いやすいときもあります。
最後の決断は母のために自分がすることになります。基本的なことを理解して後悔しない決断をしましょう。
手すりの設置は最初から、後付の手すりは最終手段
実は手すりをつけるには、補強が必要です。通常、手すりはネジで取り付けるのですが、そのネジの威力を発揮するにはネジを止める壁に一定の強度が必要になるからです。
例えばシステムバスの場合、壁は工場で作ったパネルになります。このパネルは10ミリ〜15ミリ程度の厚みです。防水性は優れますが、ネジの性能を発揮するためには強度が不足します。そのために補強が必要となります。いわゆる裏当て(補強)材をあらかじめ壁の裏側に設置します。(鋼板製のパネル等、強度があるものは除く)
そうすることによりネジが強度を発揮します。裏当て材がなくても手すりはつきます。しかし、しばらく使用し続けているとネジが緩んできて締めなおすことになります。この繰り返しにより壁が痛み最後はネジがきかなくなり、てすりがガタガタになります。
手すりの位置を計画の段階で決定しておくことにより、しっかりとした手すりをつけることができます。可能な限り初めから手すりを十分に設置してください。
それでは、もしあとから手すりをつけたくなった場合はどうするのでしょうか。実はあとからでも設置することはできます。ただし、今まで説明したように裏当て材を入れることはできませんから、別の方法を取ることになります。
後付の手すり
新築時やリフォームのときに手すりをつけることができなかった。「今から手すりをつけたい」「はじめからつけるのと同じくらいしっかりしたものをつけたい」「どういったものをつければいいか」などと悩んでいるひともいると思います。
ユニットバス(システムバス)で後付の手すりを設置する場合、マグネット式や吸盤式、またはネジ式やアンカー式など様々なタイプがあります。この中にはかんたんに自分でつけることができるものもあります。
実はこの中からどの方式を選ぶかはお風呂の壁の条件によります。様々な条件の中から適正なのもを選ぶことは簡単ではありません。よほど勉強したり、経験したりした人でないと適切な組み合わせを選ぶことは難しいです。
ではどう選択すればよいでしょう。結論はユニットバス(システムバス)の場合、そのメーカーから出されている後付の手すりを選定することをおすすめします。
なぜなら、手すりの設置はそもそも母の入浴時に安全を確保するために取り付けます。したがって安全第一であることが条件です。各メーカーが出している手すりは、安全の確保を第一に様々な実験を繰り返し安全な強度を確保した手すりになるからです。
つまり手すりについてそのお風呂を施工した会社もしくはメーカー対応商品を選定することが一番です。お風呂の壁の裏側やユニットバスそのものの構造をよく知っているからです。安全第一が基本です。
その他の設備
照明
お風呂場の照明は一体どのようなことを検討すればいいのでしょう。実は年齢を重ねてくると若い人と同じものを見ていてもよく見えなくなってきます。もちろん老眼や近視などさまざまな事が考えられますが、単純に必要な照度(いわゆる明るさ)が違ってくるのです。
通常、事務作業に必要な照度は500Lx(ルクス:明るさの単位)程度ですが、高齢者の場合は700Lx必要と言われています。実に1.4倍の明るさが必要となります。もちろんお風呂場ですからそんなに明るさは必要ではありません。
お風呂は通常リラックスするために雰囲気を出したり、それほどの明るさを必要としないために明るさをわざとおとしています。
ただし、シャンプーやリンスその他文字を読みたい場合や、母がものが見えにくい場合は明るくすることが必要です。普通の明るさであっても母にはものが見えにくく危険な環境になっていたり、文字が読みにくくなっていたりする明るさかもしれないからです。
母にとって安全に利用できる明るさを確認することが必要です。もし明るくしたい場合は照明を取り替えることも検討しましょう。変更が必要なければそのまま利用してももちろん構いません。
非常呼び出し装置
非常呼び出し装置とは何でしょう。お風呂で万が一のとき呼び出す装置のことです。もしお風呂で具合が悪くなった時、お風呂の外の家族に知らせることができます。
実際に具合が悪くなった時、おおきな声をだすことができればよいのですが、症状によっては声をだすことができない場合もあります。母の体調や年齢によって心配な場合はこの装置をつけることも検討しましょう。
最近では給湯器の種類によって、お風呂の中から外の部屋に呼び出しができる機能がついていものもあります。こちらは金額的な負担も少ないので選択することをおおすすめします。
TVの設置
TVを見ながら、お風呂に浸かりゆっくりと過ごす。お風呂をリフォームしたときのあこがれのスタイルの一つです。取り付ける場合は予め設置するようにしましょう。
後から設置するには防水や配線の課題があり、おおがかりな工事になることもあります。お風呂をリフォームした際に同時に設置することが一番効率が良いです。
TVの設置には良し悪しがあります。十分吟味した上で設置のするしないを検討してください。
母親が希望することはほとんどありません。また、若い人になるとTVが見たい場合、スマホを持ち込んで利用しているケースも多いようです。
まとめ
母の気持ち
ここまで読み進めた人は本当に母のために、何かしてあげたいと考えている人だと思います。しかし実は一生懸命考えても相手のためになっていなかったり、相手の思いとは違っていることはよくあります。
なぜなら、本当の気持ちは本気になって相手の事をよく観察し、理解し、考えて考えぬかなければわからないからです。そこまで考え抜いても、それでもようやく半分くらい母のことが理解できるくらいではないでしょうか。
例えば、母から見て意にそぐわないことがあっても、我が子が一生懸命してくれたことを喜ばないはずがありません。少しくらいのことは我慢してしまいます。
それであっても、私たちは母が喜んでくれれば素直に嬉しい気持ちになります。
考えて考えて、本当に母のために安全で快適なリフォームにしてあげましょう。