リフォームをするとき、費用がいくらかかるのか、よくわからないので複数の会社から見積もりを取って比較検討する方法があります。これを相見積もり(あいみつもり)と呼びます
工事の内容や相見積もりの正しいやり方を理解している場合、またメリットやデメリットを熟知し、リスクのコントロールができる場合には、ある一定の効果を出すことができます。
最近では、あなたにかわって無料で見積もりを複数集めて、提供してくれるサイト等があり、とても便利です。
ただし、工事の内容をよく理解していなかったり、相見積もりの正しいやり方を知らなかったり、またはそのリスクをコントロールできない場合は、デメリットだけが大きくなるため、とても危険な方法になります。
相見積もりの正しいやり方を理解することによって、あなたにあった見積もりの調達の仕方や収集方法を考えることに役立ちます。
ここでは、実際に年間数十件の相見積もりを仕事として行っている立場から「相見積もりの正しいやり方」を解説していきます。
ぜひ、あなたにあった見積もりの調達方法を探してください。そして安心してできるお風呂のリフォームを目指しましょう。
目次|このページでわかること
相見積もりを取るときのポイント
基本プランをつくる
見積もりを取るためには、まず自分の希望をまとめることが必要です。あなたが自分の希望がよくわからないままでは、基本プランを作ることはできません。
基本プランがなければ、見積もりの依頼は相手任せになってしまいます。必ず自分自身の要望をまとめた基本プランを作りましょう。
基本プランと言っても図面である必要はありません。自分自身や家族の要望を箇条書きでまとめたもので十分です。
これらを作っておくことで、自分の要望を相手に正確に伝えることができるようになります。つまり見積もりが正確にとれる準備が整います。
できるだけ、具体的に条件を出してみましょう。たとえば、
- 寒いお風呂を温かいお風呂にしたい
- カビが生えないお風呂がいい
- 掃除がしやすいお風呂
- 乾燥機能が欲しい
- 追い焚き機能をつけたい
などなどです。
もし、自分の希望を相手に正確に伝えることができないと、希望通りの見積もりや工事をすることができなくなります。
条件をそろえる
相見積もりを取るためには条件を揃えることが必須です。
条件をそろえていなければ、とうぜん出てくる見積もりの金額も異なってしまうからです。
話を聞けば、「それはそうでしょう」と誰もがおもいますが、実際に相見積もりをやってみるとこの失敗が結構あります。
たとえば、TOTOのユニットバスがいいなと思って、A社に見積もりを依頼します。仮に出てきた金額が100万円だとします。
この見積もりをもとにB社と打ち合わせをします。その際に「うちではパナソニックがおすすめです」と言われます。
そのため、B社にはパナソニックのユニットバスの見積もりを依頼します。出てきた金額は80万円になりました。
最後のC社では、C社おすすめタカラスタンダードのホーローのユニットバスの見積もりを頼みました。90万円の見積もりが出てきました。
金額だけを比較すると
A社100万円 B社80万円 C社90万円となります。
これを見てB社が一番安いのでB社に決めるのは相見積もりになりません。
3社とも商品が違うため、B社が本当に一番安かったのかはわからないからです。
本来であればA社、C社にも同じ商品で依頼する必要があります。もう一度A、B、C社に同じ条件で依頼してみます。
A社90万円 B社80万円 C社75万円 となりました。正しい相見積もりを行えば、実際にはC社が一番安かったことになります。あなたは5万円高くお風呂のリフォームをするかもしれなかったのです。
複数の会社に見積を依頼して相見積もりを実施するには、必ず
「条件を揃える」ことが必要です。くれぐれも忘れないでください。
あらかじめ相手に相見積もりであることを伝える
相見積もりを実施するときには相手の工事会社へあらかじめ相見積もりであることを伝えましょう。これが工事業者とのトラブルを回避する簡単にできる一つの方法です。
「なんとなく相見積もりだと相手に言えなくて」「相見積もりだと知られると相手に嫌がられるので、黙っておこう」とか「相見積もりだと伝えると見積もりしてくれないかもしれないから黙ったまま、見積もりを複数取って一番安いところにしよう」など、様々な理由で相手の工事業者に相見積もりであることを伝えない場合があります。
しかし、これは百害あって一利なしです。お互いに良いことがありませんので、かならず、相見積もりであることを相手に伝えるようにします。
伝え方はかんたんです。「今回の工事は相見積もりですが、見積もりしてもらえますか?」と聞いてください。「はい、大丈夫ですよ」「うちは相見積もりはやらないのでお断りします」「持ち帰って社長に聞いてきます」ほとんどが、これらのいずれかの答えが返ってきます。
はじめに相手に相見積もりを伝えるメリット・デメリット
はじめに相手に伝えるメリット・デメリットは次のとおりです。
メリット
- 工事会社が競争して価格を安くしてくれる
- 競争するつもりがない会社とはじめから付き合う必要がなくなる
- あとで、相見積もりだとバレて業者とトラブルになりにくい
デメリット
- 価格競争の会社があつまり、値段だけの勝負になる
- 適正価格で品質の良い仕事をする会社が辞退する
- はじめの金額だけ安くして、工事後に追加の見積もりを出される
このように、メリット・デメリットありますが、のちのちトラブルになるケースが一番のデメリットになりますので、かならず業者へは見積もりを調達する時に、あらかじめ相見積もりであることを伝えましょう。
あなた自身がコントロールする
基本的に相見積もりはあなた自身がコントロールする必要があります。他人がコントロールした相見積もりではその効果がないばかりか、場合によってはデメリットだらけになってしまうからです。
たとえば、現在多くの会社で見積もりについて、価格が適切かどうかを判断する方法として、相見積もりの方法を取り入れたりしています。
複数の見積もりを取って比較し、検討したもので上司のOKをとるのです。しかし、担当者が他の会社へ依頼した見積もりの内容をよく理解していなかったり、複数の会社へ依頼する時間がなかったりした場合、発注先の一つであるD社に複数の見積もりをそろえるように頼むことがあります。
何か変です。
複数の会社にそれぞれ見積もりを頼んで、それらを比較検討するために、相見積もりを行おうとしているのに、D社1社に複数の会社の見積もりを頼んで、複数の見積もりをそろえるなんて、いわゆる出来レースになります。(あらかじめ結果が決まっているのにあたかもレースをしたように装うこと)
この結果は想像の通り、見積もりを依頼されたD社が自分の見積りが一番安くなるように、他のE社に頼んで2社分の見積もりを提出することになります。
つまり、この場合は発注もとの担当者自身が相見積もりをコントロールできておらず、しかもあろうことか発注先のD社に任せてしまっているため、相見積もりとしては形だけで、まったく機能していないケースです。
つまり、相見積もりを実施するには必ず自分自身でコントロールすることが必須です。かんたんに他人が揃えてくれた複数の見積もりは相見積もりとして機能しない場合があるのです。
相見積もりを取った後のポイント
内容を精査する
見積もりが複数揃ったら、比較検討することになります。単純に比較検討するだけでも各社の工事項目の違いがわかります。抜け漏れがあれば追加し、重複があれば取り除きます。そして、工事の内容が適切であるか判断します。
この判断は、リフォームなどの工事経験やスキルが必要です。もし理解できない場合や、複雑な場合は専門家に相談しましょう。知識やスキルが無いままで対応すると後で困ることになります。
プランに対する減額や追加の修正を依頼する
内容の精査が終了すると、各工事会社へ過不足などの項目について見積金額の修正を依頼します。そして、最終的なプランの変更も含めた見積もりを再提示してもらいます。ここでは工事期間や金額の支払い条件など、契約に関する様々な項目について最終条件を各社へ提示することになります。
不採用の会社へ断りを入れる
複数の見積もりを調達した場合、最終的に契約する会社は1社のみとなります。その他の会社とは契約しません。したがってお断りを入れる必要があります。なかなか、経験がないとむずかしく感じる場合がありますが、ここは割り切って連絡しましょう。
相手も、早めに結果がわかったほうが助かります。いつまでも契約できるのか、できないのかわからないのが一番困るからです。
まとめ
実は相見積もりは難しい方法です。仕事としてプロがやっていてもうまくいかない時があります。一見すると金額を競わせて、価格が安くなり効果があるように見えますが、そうでないときも多々あります。一般の人が行うには注意が必要です。できるだけ慎重に行ってください。
できれば、自分のスキルと経験などを考慮して、可能な限り専門家を味方につけることをおすすめします。